概要
バハムートはイスラム神話やアラビアの伝承に登場する巨大な魚、または鯨のような生物です。中世イスラムの学者たちによると、バハムートは世界を支える存在として描かれています。彼の役割は、世界の安定と秩序を保つために存在することです。バハムートは、アル・カズウィーニーやアル・ダマスキのような学者によって記述された『宇宙誌』や『諸世界の驚異』などの文献に登場します。
何を象徴する怪物か
バハムートは、宇宙の根源的な力や存在の基盤を象徴しています。イスラムの博物館にある文化誌によるとイスラム神話では、「神は大地を天使に背負わせ、天使の足場に岩盤を、岩盤の支えに巨大な牛を、牛を乗せるために巨大な魚を配置した」という宇宙観があり、宇宙は複数の層で構成されています。バハムートはその最下層の魚であり、宇宙全体を支える役割を果たしています。この象徴は、バハムートが宇宙の安定性と秩序を保つための根本的な力を表していることを意味します。
語源としては聖書の「ヨブ記」にでてくるベヒモスの借用だとされています。本来は陸上の怪物とされるベヒモスとバハムートでは整合性に欠きますが、これは本来は牛の方にベヒモスと名付けるべきをあべこべにしてしまったという説がある。
大きさ
バハムートの大きさに関しては、アラビア語の宇宙誌に以下の記載がある。
神が地球を創った時、それは水に浮く船のように揺れて不安定だったので、神は地球を背負う天使を送った。天使は地球を両肩に乗せ両手で東西の端を持って支えたが、天使には足を置く場所がなかった。そこでその下に足場となる宝石の岩盤を置き、それも不安定だったのでその下に岩を支える牛クユーター(Kuyootà)を配し、さらに牡牛の足場として巨大魚バハムートを配して、そうして地球は安定した
バハムートは地球全体の水を鼻の穴に入れても、砂漠の中の1粒の砂ほどにしかならないという比喩がある。またそのため、誰も姿を見たことがないともされている。
能力
バハムートの主な能力は、その巨大な体で世界を支えることです。彼の体は計り知れないほど巨大であり、その存在は宇宙全体の安定性を維持するために不可欠です。バハムートの力は、物理的なものだけでなく、象徴的な意味合いも持ち、宇宙の秩序と持続性を保証する力を示しています。
性格
バハムートは具体的な性格を持たない存在です。彼は神話の中で役割を果たすための象徴的な存在として描かれており、個人的な性格や感情は記述されていません。バハムートの存在は、その役割と象徴性に重点が置かれています。
外見
バハムートは巨大な魚、または鯨のような姿をしています。その体は非常に大きく、全身が鱗で覆われているとされます。バハムートの眼の周りには肉が盛り上がり、口には鋭い牙と二枚の舌があると伝えられています。彼の姿は驚異的で神秘的な存在感を持ち、見る者に畏怖の念を抱かせます。
強さ
バハムートの強さは、その巨大な体と世界を支える能力にあります。彼の存在自体が宇宙の構造と秩序を維持するための基盤となっており、計り知れない力を持っています。このため、バハムートは非常に強力な存在として描かれています。
弱点
バハムートの弱点についての具体的な記述はありません。しかし、彼の存在が宇宙の安定性に直接関わっているため、何らかの方法で彼が損なわれることがあれば、世界全体に影響を及ぼす可能性があります。バハムートが崩れることは、宇宙全体の崩壊を意味する可能性があるため、彼の弱点は極めて重要なものと考えられます。
信仰
バハムートは、イスラム教の教義における具体的な信仰対象ではありませんが、中世のイスラム学者たちによって語られ、宇宙の神秘や神の創造の力を象徴するものとして認識されています。バハムートの存在は、神の偉大さと創造の力を表すための象徴として理解されています。
血縁・親子関係
バハムートに関する具体的な血縁や親子関係についての記述はありません。彼は神話的な存在として描かれており、個人的な関係性よりも、その象徴的な役割が強調されています。バハムートは独立した存在として描かれ、その役割が神話の中心となっています。
生まれ方
バハムートの生まれ方についての具体的な記述はありません。彼は神話の中で初めから存在するものとして描かれており、創造の初期段階から世界を支える役割を果たしています。バハムートの存在は、宇宙の根源的な力として理解され、特定の生まれ方は強調されていません。
特筆すべきエピソード
バハムートに関連する特筆すべきエピソードとしては、世界を支える巨大な魚としての役割が挙げられます。彼の上には、巨人クイシュ、牛、天使、山、地球といった層が重なり、その全てがバハムートによって支えられているとされています。このエピソードは、バハムートの重要性とその力を象徴しています。
最終的にどうなったか
バハムートの最終的な運命についての具体的な記述はありません。彼は永続的な存在として描かれており、世界が続く限りその役割を果たし続けるとされています。バハムートの存在は、宇宙の安定と秩序を保つために不可欠なものとして理解されています。
出演作品(アニメ、映画、ゲーム、漫画)など
バハムートは、現代の様々なメディアに登場しています。以下はその一部です:
アニメ
- 『神撃のバハムート GENESIS』:バハムートをモチーフにしたアニメで、巨大なドラゴンとして描かれています。
映画
- 『ファイナルファンタジー』シリーズ:ゲームシリーズを基にした映画作品に登場するバハムートは、強力なドラゴンとして描かれています。
ゲーム
- 『ファイナルファンタジー』シリーズ:バハムートは召喚獣として、多くのシリーズに登場し、プレイヤーに力を貸します。
- 『グランブルーファンタジー』:バハムートは強力な敵キャラクターや召喚石として登場します。
漫画
- 『神撃のバハムート』:アニメと同じく、バハムートをモチーフにした漫画が存在します。
バハムートはその象徴的な存在と強力なイメージから、現代の多くの創作物に影響を与え続けています。
このように、バハムートはイスラム神話において重要な象徴的存在として描かれており、現代の多くのメディアでその影響を感じることができます。その巨大な体と世界を支える役割は、宇宙の秩序と安定を象徴するものとして、神話の中で大きな意味を持っています。
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