太陽神ニカの元ネタ(モデル)はインド神話のハヌマーン
最終章に入ってより一層注目を集めるようになった週刊少年ジャンブで連載中の「ONE PIECE」ですが、コミックス103巻の第1044話「解放の戦士」にて、ルフィの「ゴムゴムの実」の別名が「動物(ゾーン)系 ヒトヒトの実 幻獣種・モデルニカ」であることがわかりました。
「ニカ」は太陽の神であるとされており、「太古の昔に奴隷達が信じ、人を笑わせ苦悩から解放してくれる伝説の戦士」とも言われています。こ「週刊少年ジャンプ」2022年8月1日号の雑誌付録『Road To Laugh Tale』Vol.4にて、ギア5の設定画に「ハヌマーン 猿神」という記載があり、太陽の神ニカのモデルがインド神話に登場する神様「猿神ハヌマーン」であることがほぼ確定しています。
ハヌマーンというのはインド神話に登場する「神猿」であり、力強さや愛・勇気・忠誠の象徴として描かれます。
公式にも太陽神ニカのモデルがハヌマーンであることはほぼ認められている状況ですが、実はルフィとハヌマーンの関連性はそれだけではありません。今回はルフィ(太陽の神ニカ)とハヌマーンの関係性を、インド神話に登場する内容から解説していきたいと思います。
インド神話でのハヌマーンの活躍
ハヌマーンは、ヴァールミーキによって編纂された古代インドの叙事詩(国や歴史をありのままにまとめて書き上げたとされる書物)である『ラーマーヤナ』において、主に第4巻「キシュキンダー・カーンダ」および第5巻「スンダラ・カーンダ」に登場します。彼の活躍は特に「スンダラ・カーンダ」で詳述されていますが、物語全体を通じて重要な役割を果たします。
ハヌマーンの活躍
キシュキンダー・カーンダ
「キシュキンダー・カーンダ」では、ラーマが妻シーターを探すために、猿王スグリーヴァと同盟を結びます。ハヌマーンはこの同盟の中で中心的な役割を果たします。彼はスグリーヴァの最も信頼される将軍であり、ラーマとスグリーヴァを引き合わせる役割を果たします。
ハヌマーンは、ラーマの戒めを受け、シーターを探すために南の方向に向かう探検隊のリーダーとなります。彼の知恵と力によって、探検隊は多くの困難を乗り越え、最終的にシーターの居場所を突き止める手がかりを得ます。
スンダラ・カーンダ
「スンダラ・カーンダ」では、ハヌマーンの勇敢で知恵に満ちた行動が詳細に描かれています。シーターがランカに囚われていることを知ったハヌマーンは、巨大な姿に変身してインド洋を飛び越え、ランカへと渡ります。この場面は彼の超人的な力を示す象徴的なシーンです。
ランカに到着したハヌマーンは、密かにラーヴァナの宮殿に侵入し、シーターの居場所を突き止めます。彼はシーターにラーマからのメッセージを伝え、彼女に希望を与えます。この過程で、ハヌマーンはラーヴァナの軍勢と戦い、捕らえられるも、その後自身の尾に火をつけてランカを焼き尽くすという大胆な行動を見せます。『ラーマーヤナ』の結末において、ハヌマーンはラーマとシーターの勝利を助け、ラーマの即位にも貢献します。彼はラーマに対する忠誠を貫き通し、その後もラーマの側で仕える存在として描かれます。
戦闘での活躍
ハヌマーンはまた、『ラーマーヤナ』の後半において、ラーヴァナとの決戦で重要な役割を果たします。ラーマとラーヴァナの戦いにおいて、ハヌマーンはラーマの側で戦い、彼の忠実な将軍として勇敢に戦います。彼の力と戦術的な知恵は、ラーマ軍の勝利に大きく貢献します。
ハヌマーンの能力と性格
ハヌマーンは多くの超人的な能力を持っています。彼の主な能力には以下のようなものがあります:
- 飛行能力:ハヌマーンは巨大な姿に変身し、空を飛ぶことができます。これは彼がインド洋を渡る際に見られる能力です。
- 変身能力:彼は自分の大きさを自由に変えることができます。これにより、敵から隠れたり、巨大な力を発揮したりすることができます。
- 驚異的な力:ハヌマーンは非常に力強く、巨大な岩を持ち上げたり、敵を一撃で打ち負かしたりすることができます。
- 知恵と戦略:彼は知恵深く、戦略的な思考に優れています。彼の知恵はラーマの救出計画において重要な役割を果たします。
ハヌマーンの性格は、忠誠心、勇敢さ、そして無私の心を象徴しています。彼は常にラーマに対して忠誠を誓い、ラーマのためにどんな困難にも立ち向かいます。また、彼の行動はしばしば自己犠牲的であり、他者のために自分の命を危険にさらすことも厭いません。
ルフィとハヌマーンの6つの関連性
ルフィとハヌマーンの関連性は、ONE PIECEで実際に描かれているとインド神話の内容からいくつも見つけることができます。
「モンキー」=「猿」=ハヌマーン
まずはルフィのフルネームである「モンキー・D・ルフィ」です。モンキーというのは「猿」のことであり、ハヌマーンが神猿であることと重なります。
とても直接的な関連性ですが、ルフィの登場した第1話から明らかになっている「モンキー・D・ルフィ」という名前の意味合いが、ここに来てハヌマーンとの関連性を持たせているとしたら、このONE PIECEという物語がどれだけ練りに練って描かれているのかが感じられますね。
ハヌマーンもルフィも体の大きさを自在に変えられる
ルフィの食べたゴムゴムの実の能力と言えば、ゴムのように腕や足を自由自在に伸ばせることです。さらには「ギア3」で自分の骨を噛んで息を吹き込むことで、腕の太さや大きさを変えられるようになりました。そしてインド神話で描かれているハヌマーンの能力にも、体を自由自在に大きさを変えられるというものがあります。
またギア4では空を飛ぶこともできるようになったルフィですが、ハヌマーンも空を飛ぶことができたと言われており、この点も重なります。
「バジュラング」=ハヌマーンの別名
ルフィが太陽の神ニカに覚醒した際に使用した技の中に「ゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン)」という技があります。ルフィの腕を鬼ヶ島以上に大きくしてカイドウを倒した技です。
この「バジュラング」という言葉は、実はハヌマーンの別名でもあります。バジュラングというのは「屈強な者」という意味でもあり、前述した「週刊少年ジャンプ」2022年8月1日号の雑誌付録『Road To Laugh Tale』Vol.4にて、ギア5がバジュラング・ガンを放っていると思われる挿絵の横に『ハヌマーン』『猿神』という文字が見えます。これもかなり直接的な関連性ですね。
ハヌマーンの顔の数=ルフィのギアの数
ハヌマーンの像は「四つの猿の顔と一つの人間の顔」を持つ、いわゆる五面十臂(「ごめんじゅっぴ」、または「ごめんじっぴ」)の姿で表される。これは5つの顔と、10本の腕がある姿です。
一方でONE PIECEのルフィには「ギア」という概念があり、これはルフィの戦闘におけるスタイルや特性を表しています。ギアの数は最終章の段階で5つあり、「ギア5」で今回の太陽の神ニカに覚醒しています。
あくまでも最終章の段階でのルフィと重なるだけであって、今後あらたなギアが登場したらまた意味合いがかわってくる可能性もありますが、5つの顔があるというハヌマーンの特性と、5つのギアを操るルフィの特性は、関連性を感じさせますね。
ルフィもハヌマーンも果物と太陽を間違えた
ハヌマーンは生まれてすぐに、空に浮かんでいる太陽を果物と勘違いして、太陽を取ろうとします。それを見ていた神のインドラヴァジュラ(金剛杵)という宝具を投げつけられで一度転落死してしまいます。
一方でONE PIECEのルフィは第1話で、ゴムゴムの実を果物と間違えて食べてしまいます。
実際に食べようとしたものはそれぞれ異なりますが、「果物と間違えた」ことは同じで、これも関連性を感じさせます。
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